ヤマハミュージック 池袋店

出版社：ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
著：オリヴィエ・メシアン
訳：細野孝興

本書はメシアン唯一の音楽技法書。原書の“Technique de mon Langage Musical”は、1944年にフランスで出版され、日本版は「わが音楽語法」のタイトルで1954年に刊行されました。メシアンが後世の音楽家に向け、自らの音楽技法を伝えるために著したもので、絶版となった後も音楽愛好家や研究者から復刊の声が後を絶ちませんでした。権利上の問題から長らく日本版が出版できずにいましたが、ようやく新約版として刊行されたのがこちらです。新訳版の翻訳にあたっては、音楽上の新しい考え、音組織、表現形式、音素材等が時代とともに変化することを踏まえつつ、メシアンの意図をより忠実に伝えることを意図しています。日本語版刊行にあたり、平尾はるな氏、藤井一興氏、小鍛冶邦隆氏による「日本語版への序文」も掲載。

出版社：音楽之友社
著：クライヴ・ブラウン、ニール・ペレス・ダ・コスタ、ケイト・ベネット・ウォズワース
訳：天崎浩二、福原彰美

メモリアルイヤーということで、今年は発表会やコンサートでブラームスの作品を演奏される方も多いのではないでしょうか？そんな方にぜひ読んでいただきたいのがこちら！本書ではブラームスと直接関わりのあった演奏家の文献や手紙、録音をもとに「本人はどのように演奏して欲しかったのか？」を詳しく紐解いています。ピアノのペダリングや弦楽器のボウイングなど、ブラームスが認めた、また演奏者に直接指示した内容が細かく書かれており、楽譜だけでは読み解けない演奏のヒントが盛りだくさんです！ピアノと弦楽器に特化した内容ではあるものの、ブラームスの人間性も垣間見ることができるので指揮者や管楽器奏者の方も参考にしていただけます。気難しいイメージのブラームスですが、この本に登場する人物とのやりとりの中で垣間見える喜怒哀楽は非常に人間味があり、時にチャーミングだとさえ感じます。読み終わった後はブラームスへの愛着が増すこと間違いなしの1冊です！

出版社：鳥影社
著：フリッツ・クライスラー
訳：伊藤氏貴

ヴァイオリニスト・作曲家として活躍したクライスラーが書いた唯一の書物。と言っても芸術家やヴァイオリニストとしての自叙伝的な要素は一切なく、内容は第一次世界大戦での従軍記です。史上初の空爆、戦車や毒ガス兵器の誕生などで大量殺戮が可能となった第一次世界大戦。膠着する塹壕戦では頭の真上を銃弾ががすめ、すぐ傍で砲弾の爆音が鳴り響く…クライスラーを含む兵士たちが味わった極限の恐怖はどれほどのものだったのでしょうか。塹壕戦から帰還した兵士の中にはあまりの恐怖で精神に異常をきたしていた者も多かったといいます。「愛の喜び」「愛の悲しみ」など情緒豊かで繊細なクライスラーの音楽がこの悲惨な体験の上で誕生していると考えると、演奏するときの心持ちも変わりそうです。

出版社：水曜社
著：井形ちづる

「歌曲王」の異名を持ち、ドイツリートのイメージが強いシューベルト。オペラと言われてもあまりピンと来ないかもしれませんが、実は31年という短い生涯の中で19曲ものオペラを残しています（多くは台詞の入る「ジングシュピール」と呼ばれるもの）。当時ドイツ語のオペラにあまり需要がなかったこともあり、上演される機会はなかなかありませんでしたが、歌曲「魔王」や「糸を紡ぐグレートヒェン」に見られるようにドラマティックな音楽を作る才能に長けていたシューベルトのオペラは近年見直されています。本書では19作品すべての〈作品成立の背景〉〈登場人物〉〈あらすじ〉〈音楽的特徴〉〈上演史〉などを詳述する初の解説書。節目の年にぜひ手に取って、シューベルトのオペラの世界を覗いてみませんか？

出版社：筑摩書房
著：グレン・グールド、ジョナサン・コット
訳：宮沢淳一

やたら座面の低い椅子に座り、足を組み歌いながら演奏する、人気絶頂の31歳でコンサート活動を引退する…ピアニストとしてまぎれもなく天才でありながら、その奇天烈な行動のインパクトから「変人」とも呼ばれていたグールド。しかしその挑発的な生き方は彼の最大の魅力であり、没後40年経った今もなお多くのファンに支持されています。ヤマハでも2019年、「Dear Glenn」の名のもとにグールドの音楽表現をAIに学習させ、自動演奏ピアノで再現するというプロジェクトが行われたことも記憶に新しいところです。今なお多くの人を魅了するグールドに、ローリングストーン誌の編集者であるジョナサン・コット氏がインタビューしたものを纏めた本がこちら。気難しいイメージの強いグールドが音楽に対する考えを饒舌に語る様が読んでいてとても面白いです。グールドのCDを聴きながら読むのもオツなものでしょう。

・グールドの持ち味とも言える鼻歌、実は本人も気にしていた？
・グールドは赤が嫌いだったのに、なぜよりによって真っ赤なセーターを着た写真を表紙に？
・代表作でもあるゴルトベルク変奏曲、55年盤と81年盤のテンポの違いが意図するところは？

答えはこの本の中に！